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3.ユル!

  • 2006/05/14(日) 20:43:37

「Beautiful poison」の誄です。
続編、ではないですが、その後のお話。
でもギャグ風味。



___________


がたん、とたてつけの悪い扉から音がする。
女の力では開けるのに苦労するだろう、誄は立ち上がると力任せにそのドアを横に引いた。
すると扉は開いたのだが、外に居た女が衝撃に尻餅をついてしまう。

「あぁ、吃驚したわぁ。そんな細いのに、やっぱり男の人なんやねぇ」
「……すいま、せん」
「ええんよ、はい、これ、長さあうとええんやけど……」

そう言って誄の手に渡されたのは、布の服だった。
困ったように女を見ると女は苦笑する。

「せやね。外人さんが浴衣の着かたなんてわかるはずないわなぁ」
「……ユカタ……?」
「日本の服、せやけど……一人で歩くなんてもうやめた方がええ。外人さんやからってこの前みたいに無差別に襲ってくる人もおるんやから」
「……理解範疇外のものは破壊して安心しなきゃいけないから……大丈夫です、なれてます」
「変な人やねぇ、日本語も上手いし」
「……喋れなかったはず、なんですけどね」

誄はそう言って浴衣に手を通す、女が前を合わせてくれる。

そうだ、喋れなかったはずだ、なのに誄は女を理解して、言語を帰している。
それは昔、華弥と話していた言語のようだ。
だが、ジョシュが喋れるわけが無い、じゃああの屋敷で飛び交っていた言語はなんだったのだろうか。
疑問だけが毎日重なっていく。
華弥に繋がるものは何もない。
異人というだけで目立ち、襲ってくる者も少なくない。
丁度、この女には身包みをはがされて困っているところにあったのだ。

「っ!きつっ」
「ユルめにやったんよぉ、これでも……女の人やないんやから」

しかも眺めの布が足に垂れて……動きにくい。
それでも礼を述べると女は嬉しそうに笑った。

「気ぃつけや」
「はい」
「……何を探しとるん?」
「………華弥って、聞いたことありませんか?女の子の名前なんですけど」
「かや……?さぁ……聞いた事ないわぁ……」
「そうですか」
「堪忍なぁ」
「いいえ。それじゃあ」
「また、近くまできたらよってくださいな」
「是非」

二度と会うことは無い。
口だけの約束。

「綺麗なお顔……ほんまは異人さんやなくて、神さんのお使いなんかな」

女の手が頬に触る、にっこりと笑った女の顔が一瞬近くなったと思ったら、すぐに離れた。
思わず触れた唇に手で触れる―まだ感触が残っている。
女は何事もなかったように笑っている、誄も笑い返した。
誄は小さく礼をして、その場をたった。


_________


旅の途中の誄の一こま。
短いし、ユル!の使い方が……お題にそってないし!
ちゅーはしたけど……汗

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